こんな自分でも、人の役には立ちたい
アパレル業界、主にオーダースーツに関わる仕事をさせていただいております。
これも一重にお客様、気の良い顧客様を中心に紹介や引き合いを頂戴し、日々生活できとるわけです。
今日も、感謝感謝です。合掌。

オーダーとは何か、と問われると非常に難しい。
それは洋服屋目線とお客様目線とでは変わるワケです。
お客様からすれば、
「体型が変わり既製服が合わなくなってきた」
「誰々が着ていた、あんな形こんな色のスーツが着たい」
自ずと、これらがまず一つ目に浮かびます。
でも服を誂える側は、全く違う。
最初に言っておくと、それら目線は売上や利益云々の話です。
一つはお客様の予算。
買い物に行く前に今日は○○円内に納めよう、こう思う方が恐らく世の中大半です。
洋服は水モノではない。
長いスパンで愛着を持ってお召しになっていただきたいことが売り手の想い。
営業トークありきで単価を上げて、半分衝動買いのような売り方をすると、不思議とそのお客様は来シーズン来られない。
よく言う目先の数字というやつです。(それも大事ですけどね)
次にお客様の着用シーン。
娘の卒業式や月に一度の役員会などに着る、大事な日の為の服なのか。
日常のデスクワークで使うスーツなのか。
今夜はブギーバック、口説く為の服なのか。
はたまた外回りでべっとり汗をかく、ダダ降り雨の日に着て行く為の服なのか。
雨用のスーツにそんなんやめときなはれがオチじゃないですか?
次は色柄。
個人的に、一番最初のオーダースーツには濃紺無地の生地をオススメします。
万人受けもする、弔事を除いて着用シーンも問わない。
生地の風合いも分かりやすく、ワールドワイドな色でもある。
あとは顔映りを見つつ、タッパがある方にはこういう柄、色黒の方にはこういう色、好みを伺いつつ、間違いない色柄をオススメしていきます。
そしてお客様の体型、それに見合った型紙とサイジング。
生活環境で体型や姿勢は大いに変わります。
座り仕事が多かった方は猫背、体を鍛えるのが趣味の方はもちろん反身体が多い。
五十肩で手が上がらない方に袖の細い上着は薦めませんし、胃を摘出された方に股上の浅いスラックスは薦めない。
ふくらはぎにスイカを詰め込んだようなパンパンの脚した方に、ストレートなパンツシルエットでは裂けるし、となるとテーパードが活かされます。
と言っても現代クラシックが往行している中で、最近はあまりストレートを薦めません。

いくつか、洋服屋目線でのオーダーとは何か?を出しましたが、これらは順番通りでもなくて、前後し、全く別の話も含ませつつ、来シーズンへ向けての引き出しを探していきます。
いずれ、もっと広くて、トータルコーディネートができるような、尚且つかしこい物段取りできるような、感度の高い店を持てたらなと。
自分にとって、人の役に立つってこういうことです。
今日も眉間にしわを寄せて糸通し、
針を口に咥えて、
スチーム蒸気に曇らせながら、
服を直すのも仕事です。
いやぁ、今日のお客さんの顔、ほんまに良かった。

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