無為
近頃思うのは、余計な考えや悩み、その他嫌な、興味もさほど無い情報が多すぎるということ。
これは誰しもきっとそうで、悩みを悩まない人や右から左の人は、それら考えを深く考えこまないから羨ましい。
徳のある人がきっとそうかもしれない。
余計な負担を感じないから全員に対して徳を行なえる。
私とは真逆です。
いや、逆を言えばお客様商売には向いているのかもしれない。
そんな、しょうもなくもない、思いにふける秋の涼やかな日です。
無為な心である、衣服に対してもそうかとも思うが、個人的には少し違う。
例えば冬、スーツにコート、という着こなしが年間を通じて一番格好良く見える。
それはくたびれたメルトン、ナイロン、肘や尻がうっすら摩耗ですり切れたコートであろうが、カシミアやアルパカなどの毛並み揃いの光沢あるハードな着こなしでもそう。
無為な心であろうとも、本能的にどうしても自分の好きな物、衣服を身に纏ってしまう。
だから「ただ布を纏う」だけでは満足できない。
ネクタイなどは、体に対してこれといって巻く理由はない。
寒ければマフラーを巻けばよい、が、ネクタイは世の中のルール内に従って存在するわけで、自ずと周りのルールに馴染む一つのドレスコードです。
やはり自分はその場時々に応じてネクタイを結ぶのは好きですし、気持ちも引き締まります。
好きだから纏います。
お客様で、何月何日に、どうしても必要になったスーツを誂えに来られる方は沢山おられます。
買わなければならない、という大事な動機。
しかし、本当にあってほしいのはその先、服が好きだから、スーツが好きだからという、服に対しての無為自然な気持ちです。
顧客様が増え関係性が深くなるにつれ、こういった気持ちが増え有難い限りです。

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